64ヵ国で放送された伝説のドラマおしん エジプト、シンガポールでは視聴率80%
2020-08-30 カテゴリー:日本文化
最上川 Photo by さかおり (licensed under CC BY-SA 4.0)
世界64カ国で放送された伝説のドラマ
「おしん」はNHKドラマで1983年から1年間放映されたヒット作品です。幼い少女が奉公人として生家を出た後、様々な苦労を重ね明治、大正、昭和を生き、成功していく物語で、当時の日本の貧しい農村の生活を赤裸々に描いた作品です。
日本だけでなく、世界各国でヒットし、何カ国で放映されたかといえば驚く。なんと64ヵ国で放送された。おしんは橋田寿賀子さんが脚本を手掛け、同氏が世間に知れ渡る代表作となります。
橋田さんは「渡る世間は鬼ばかり」他、NHK連続テレビ小説、大河ドラマなど数えきれないほどの作品を手掛けています。
シンガポール、エジプトで視聴率80%を記録
海外での初めての放送はシンガポールで、80%の視聴率を記録し、エジプトでも80%の視聴率を記録した。
ドラマが始まるとみんな家に帰ってしまう。放送中に停電が発生し放送が中断。ドラマが見れないと怒ったエジプト人が放送局に押し寄せ暴動が起こる。その他、貧しいおしんに食べさせてほしいと、食べ物が放送局に大量に送られている。
イランでは90%の視聴率 理想の女性に選ばれる
イランでは90%の視聴率を記録。理想の女性は誰かというラジオ放送での質問に、最高指導者のホメイニの娘のファティマを差し置いておしんが選ばれてしまう。
これが大きな問題となり、ラジオ局の責任者4人が解雇される事件に発展。そのほか、次の国のリーダーは誰が理想かとの質問に対しても、ムスリムでもないおしんが堂々4位にランクされてしまった。
中国でも放送、しかし韓国は・・
中国でおしんは阿信という名前で有名で、放映時の北京での視聴率は75.9%を記録した。中国は過去、敵国として戦争をした相手だったが、おしんを見て涙が目の前を覆った。日本のイメージが変わったという評価が多い。中国では2007年に再放送が行われている。
お察しの通り、韓国では残念ながら放送されていない。1998年の日韓共同宣言で日本ドラマや文化が韓国内で解禁されたのだが、何故かおしんの放送はしないのだ。日本のイメージを変えてしまう最も国民に見せたくないドラマかもしれない。
おしんは多大な功績を上げたCool Japan
現在はCool Japanという枠組みでアニメなどを中心に様々な日本のコンテンツが海外に輸出されているが、当時1980年代に連続テレビ小説として全297話もの長編が世界64ヵ国で放送されたというのは現在から考えても偉大な功績と言える。
終戦後日本のイメージは殆ど海外では殆ど知られておらず、サムライやゲイシャ、ニンジャくらいの認識しか無かった中で、日本文化や日本人の考え方、おしんが生きた時代の生活などが世界に紹介されることとなった。