ウクライナ問題交渉は決裂 ロシアの目的はウクライナの中立化と非武装化 NATOは後方支援
2022-03-01 カテゴリー:ウクライナPhoto by Utagawa Kunimasa V (licensed under CC0 1.0)
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ウクライナとロシアが停戦交渉
ウクライナ、ロシア両国の代表団による停戦交渉が28日、ウクライナとの国境に近いベラルーシ南東部ゴメリ州で5時間にわたり行われ、いったん終了した。
ウクライナ側は無条件の交渉を事前に通知しており、これが何を意味するかといえばルガンスク、ドネツク人民共和国の独立承認について異議を唱えないということでもある。そこにロシアは条件を提示した格好だ。
ロシア側の条件は受け入れ不可能なもの
ロシア側の条件はウクライナの「中立化」と「非武装化」だった。これは平和的解決に見えて全く違う要求となる。
「中立化」とはウクライナのNATO非加盟を意味し、現在のウクライナの意向はさて置き実行することは可能だろう。
しかし「非武装」とは軍隊を持たないということであり、軍隊を持つことは国家の生存権に含まれる国際法上の正当な権利であることを踏まえると、主権国家では無くなるという意味になる。
つまりロシアは受け入れることが不可能な条件を提示したのだ。結果的に交渉は決裂し、再度交渉が行われることは決まったようだ。
ロシア側元々の要求は何だったのか
ロシアの元々の要求はNATOの東方不拡大だ。これは当初から変わっていない。それでは何故ウクライナが受け入れ可能な「中立化」という条件で妥協できないのか。
それはウクライナとは交渉をしないということのようにも見える。この問題の発端は何かといえばNATOの東方拡大がウクライナまで広がりロシア国境付近にNATO軍が配備される可能性に対してロシアが軍事的なアクションを起こしたものだ。
つまり根本的にNATOとロシアの問題なのだ。
後方支援として参加するNATO
NATOへの新規加盟について、申請国の意志によるものとNATOは一貫した発言をしている。つまりNATOの意志よりも加盟申請国の意志だという受動的な立場だという消極的な表現だ。
しかし現在戦争が起こり継続中だ。おそらくロシアが交渉したいのはNATO軍だろう。NATOがこれ以上の東方不拡大の確約が欲しいのだ。
この意味でウクライナはロシアにとっての交渉相手ではないのかもしれない。NATOは経済制裁と国際世論の喚起によってロシア軍を止めようとしている。
NATOはロシアと交渉をするだろうか
NATOがロシアが東方不拡大に合意し、ウクライナを中立国として維持することに合意されれば、ウクライナの主権と平和が維持され、ロシア側にもNATO側にも重要なバッファー国が確保されることになる。
NATOもしくはロシアがウクライナに軍隊を送った場合、NATOとロシアの戦争になる。その上で軍事的均衡が保たれる。
実際問題としてNATOにとってウクライナが加盟することの利点は少ない。だからこそ欧米諸国は直ぐにウクライナに派兵しないことを表明し戦争を回避しようとしていた。
日清戦争前夜にも同じ問題が
日本の歴史の中では1885年に清国と結ばれた天津条約というものがある。これは朝鮮半島の金玉均の甲申事変の後に日清の緊張緩和を目的とし、双方の軍隊が朝鮮半島から撤退するというものだ。
つまり朝鮮半島を軍事的中立地域とするというものだ。結果的には朝鮮半島内で起った東学党の乱を制圧できなかった閔妃が清に援軍を要請したことがトリガーとなり、日清戦争に突入する。
このような失態が無ければウクライナは独立国として、逆にロシアとNATOの間に守られ安定した独立国となることができるかもしれない。
POINT
ロシアの要求はシンプルであり何も変わっていません。NATO欧米諸国は戦争に参加せず経済制裁を行う第三者となっています。NATOがロシアと交渉することは在るのでしょうか。