中国の領海侵犯は2012年から始まりその原因は? - 国有化から顕在化した尖閣諸島問題
2021-07-09 カテゴリー:台湾Photo by 海上保安庁ホームページ (licensed under 海上保安庁)
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先に台湾が尖閣諸島領有権を主張
尖閣諸島問題はどこから始まり、どこから顕在化したかと言えば、1971年と2012年だろう。1971年の6月に台湾外交部が尖閣諸島の領有権を主張した。それに呼応し、中華人民共和国が1971年9月に領有権を主張した。前提となるのが1969年の国連のECAFEが調査の結果石油埋蔵の可能性を示したことから始まる。当時蒋介石は中国本土の領有も主張しており、中国は台湾の領有を主張するのだから、僅か3か月で急いで領有表明をしたということだろう。つまり台湾のものであれば中国のものだという理屈だ。
棚上げされた尖閣諸島問題
1972年の日中国交正常化においては尖閣諸島問題は、問題化しないことで問題としないという双方の疎通が在ったという。棚上げ合意と言われる。グラフに示したものは中国船の領海侵犯の回数だ。2012年9月まで40年間無いことが分かる。
情勢が大きく変化したのは漁船衝突事件から
2010年には中国漁船が日本の海上保安庁の船に体当たりして来た事件が発生し、日本は中国船の船長を逮捕した。中国船の船長は日本側が体当たりしてきたと主張し、日中対立に発展する。民主党菅政権は問題が拡大するのを面倒と感じ、合理的な理由も無く船長を釈放し世論から大きな批判を浴びた。この間中国内で4名の日本人がスパイ容疑として逮捕拘留されている。
当時国会質問で野党であった自民党総裁の谷垣氏は、逮捕そのものが間違っている。その場で国外退去で充分だったと指摘している。中国の反発や、日本国内からの批判により、次の野田政権では2012年9月に尖閣諸島を国有化した。これにより問題が拡大し、中国内で大規模な反日暴動が発生する。そして中国船の領海侵入が始まった。画像のグラフを見ればこの時期に一気に増加したことが分かるだろう。当初から両国は領有権主張を持っており、日本が国有化を宣言したならば棚上げ論の廃止を意味し、中国は正面から領有権を主張する時代に入ったということだ。
尖閣諸島は日台を繋ぐ重要な島に
結果的には現在の習近平政権の動きを見た場合尖閣諸島の国有化は正しかったと言える。国有化宣言により日米安保対象内ということにも繋がる。漁船衝突という単なる1件の事案についての対処については谷垣氏が言うことの方が正しかっただろう。自民党の考え方であれば反日暴動も現在の尖閣諸島への領海侵犯問題も無かった可能性が高い。いずれにしてもこの問題は実は台湾から始まっているのだが、その島が今正に日本と台湾を繋ぐこととなり、日米台の連携を繋ぐ重要な島となっている。