捻じれた状態から始まる尹錫悦政権の政権運営には多くのハードルがある 総選挙は2024年
2022-03-10 カテゴリー:韓国Photo by Dmthoth (licensed under CC BY-SA 3.0)
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捻じれた状態で始まる新政権
大統領が尹錫悦氏になったが、懸念されるのは国会との捻じれ状態だ。野党「共に民主党」は172議席(58.31%)を持っている。この勢力図の中でどのように大統領が自身の政策を実行できるかについて依然厳しい状況だろう。
大統領権限が当面の頼み
そこで韓国憲法の大統領権限を見てみると、第53条と73条、74条がある。
73条は外交上条約を結ぶ権限であり、74条は軍の統帥権となる。53条は国会の議決に対して再議を請求できる権限となっている。49条で国会の過半数の出席と出席者の過半数により法案は可決されるとしているが、大統領による再議請求がなされた場合、過半数の出席と2/3の賛成票が必要になる。
58.31%から67%まで引き上げる為には、25名を野党から賛成票に引き入れなければならないのでハードルはかなり上がる。
本格始動は2024年以降か
野党の法案は差戻を受けた場合失効する可能性が高い。しかしこれは国会で既に議決された法案に対する再議請求である為、与党「国民の力」が提出する法案は国会内で野党によって潰される可能性が高い。
捻じれの解消まで国会は停滞
つまり、尹錫悦氏が本格的に政策実行ができる環境は2024年の総選挙を待たなければならないということになる。その前に様々な法案が国会で否決されてマニュフェスト事態が骨抜きにされる可能性もある。この環境で早期に実行可能なのは米韓同盟の強化など外交権を行使し条約や協定を結んでいくことかもしれない。
岸田総理も関係改善に意欲
併せて尹錫悦氏は日韓関係の改善についても意欲を見せている。これに対し岸田総理は「日本の一貫した立場に基づいて健全な関係を取り戻すべく、新大統領や新政権と緊密に意思疎通を図っていくことが重要だ。今後、新政権の動きも見ていきたいし、新政権と対話をしてみたい」と発言した。
尹錫悦氏は日韓関係の改善を訴えるも、日本の謝罪と賠償を前提とするとマニュフェストで明言しており、今後の展開に注目だ。
国を二分した大統領選挙
いずれにしても今回大統領選挙で勝利したものの、得票差は1%に満たない0.73%差の僅差であり、国民の半分は対立候補を支持した、正に国を二分した選挙だったことを考えると、世論を含め一筋縄では行きそうもない。
POINT
大統領権限だけでどこまで政策が実行可能かどうかについて厳しい状況です。反日勢力は依然として強い力を持っています。