日韓併合の目的と実益とは何でしょうか?当時の日本の安全保障の視点
2024-05-16 カテゴリー:日本Photo by Chris 73 (licensed under CC BY-SA 3.0)
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日韓併合の目的
日本が朝鮮半島を併合した理由は、大きく分けて2つあります。韓国側が主張する、搾取する為という理由は全く当たっていないのは、朝鮮半島経営は収支として赤字であったためです。つまり、日本人の税金がむしろ朝鮮半島に投入された側面の方が大きいでしょう。これを搾取というでしょうか。日本が朝鮮半島を併合したのは、ロシア防衛に関する目的と、満州地域から釜山に至るインフラ構築の目的が大きいです。
シベリア鉄道の植民地計画
ロシアが、シベリア鉄道を使って、朝鮮半島と満州地域を植民地化する目的なのは明らかであり、現実にロシアは次々とアジア東北部の利権を手に入れています。日清戦争後に日本が取得した遼東半島について三国干渉を行ってきたのは、満州利権を渡したくないことと、遼東半島の港と航路を日本に抑えられることを嫌ったためです。バルチック艦隊は、大陸や朝鮮半島を植民地化する為には全く必要がありません。船で向かう場所は船でしか行けない場所です。それは日本であり、もう一つあります。それは台湾です。つまりロシアは、日清戦争で日本が得た台湾を含め、日本列島及び、朝鮮半島、そして満州地域を狙っていたということです。
釜山は日本と目と鼻の先
1891年にロシアの皇帝アレクサンドル3世が、ロシア全土を貫通する鉄道敷設の勅命を出し、単なる鉄道建設では無いことが明らかになっただけではなく、シベリア鉄道は始点と終点の両方から建設が行われたため、朝鮮半島と目と鼻の先であるウラジオストクと、ロシア首都部が繋がれることも明らかでした。そこへバルチック艦隊がやってくるということです。これを通してはならないと、日本は最も狭い海域である対馬沖でバルチック艦隊の撃破に成功しましたが、仮にこれが通過してしまった場合どうなるでしょうか。ロシアは朝鮮半島を次々と手に入れ、釜山に軍港を作ってしまえば、日本列島は目と鼻の先となります。この形になると、朝鮮半島は日本列島をユミ状に取り囲む地形となっており、国力の大きいロシアに対して日本はひとたまりも無かったでしょう。
日本海の制海権を取得
日露戦争の敗戦によりロマノフ王朝は力を失い、それに乗じたレーニンが第一次世界大戦中にロシア革命を展開します。これが1917年ですから、日露戦争から12年後となります。それでも日本はロシアが再度体制を立て直し、艦隊を送ってくる可能性については警戒せざるを得ないでしょう。日韓併合により、朝鮮半島が日本となった場合、日本海を通過するロシア艦隊は、今度はウラジオストクに至るまでの間、挟み撃ちを受ける状況となり、日本海での形勢は完全に日本に有利となります。つまり日本は、日本海を包囲したのです。
そして、日露戦争の結果、ポーツマス条約により、日本は後の南満州鉄道となる、ハルビン・旅順間の鉄道を手に入れます。そして満州におけるロシアの利権を大きく退けることとなります。
満州鉄道との連結
日清戦争後に朝鮮が独立国家となった後に日本は朝鮮半島の鉄道敷設権を得て、朝鮮半島を縦断して釜山まで至る鉄道を建設します。そして日露戦争後、満州地域で得たハルビン・旅順間鉄道をこの朝鮮半島の鉄道と増設連結を行います。つまり、満州地域から、日本と目と鼻の先である釜山までつながる巨大インフラを日本は作ったのです。このことにより、大連からの航路、陸路からの鉄道によるインフラが確保されます。つまり、日露戦争の勝利は、日本海を名実ともに包囲して排他的海域とし、満州南部と鉄道で連結し、満州国が建国された際には、満州地域を横断する東進鉄道も、ロシアは満州国に売却することになります。つまり、ロシアが得ようとしてた朝鮮半島、満州地域を日本は手に入れた訳です。
防衛線は大きく北上
これは日本の対ロシアに対する安全保障上の観点から、大きく日本が拡大した結果となり、かつては対馬が防衛線となるかもしれない、危機的な状況だったものを押し返し、防衛線は遥か1000km以上も北上させたことになります。
当時朝鮮半島は政治不安や対立が後を絶たず、財政も独自通貨発行に失敗し破綻状態でした。外交的にもロシアに財政上の問題から様々な利権を売却しており、日本の安全保障上朝鮮半島があやふやであるということは、
日本の安全保障もあやふやになるという状況でした。それはやはり当時のロシアの国力の大きさと、ロシア艦隊が万が一にも日本海を北上することに成功した場合、日本は絶望的な状況に陥るでしょう。
満州との連結での意味
逆に満州地域、朝鮮半島をコントロールカに置くことで、日本の安全保障が盤石となった訳です。このような理由でロシアは日本に対して地政学的にも劣勢となり、第二次世界大戦が勃発しても、ソ連は日ソ不可侵条約を結びます。欧州でナチスと戦っている中で極東で日本に攻め込まれたら今度はロシアがひとたまりもないからです。このような意味で、朝鮮半島経営が赤字だった理由は、鉄道敷設など、満州から日本の目前に至るインフラ整備など様々な投資が必要だったことも原因の一つだと思われます。朝鮮半島統治は財政的には赤字でしたが、満州との連結で考えた場合はどうでしょうか。
台湾総督府鉄道
台湾統治における縦断鉄道と比較してみましょう。このように見ても、朝鮮半島の鉄道の方が様々な方角を網羅しています。これは、台湾統治が始まる当初の人口が約260万人に対し、朝鮮半島は1313万人という人口差や、台湾は中央部分は山岳地帯であったりする理由もあるでしょうが、台湾は台湾で完結した鉄道である一方で、朝鮮半島は満州地域から日本に向かう鉄道としての役割として、大きく違っていたと思われます。現在も、韓国の鉄道はこの時敷設された朝鮮総督府鉄道路線を使用しています。台湾についても、台湾総督府鉄道を元にしています。
鉄道で移動する金正恩
北朝鮮も実は、この路線を今でも使っており、南満州鉄道は中国に変換されましたので、それは当然中国にまでつながっています。金正恩氏が中国を訪問する際も、鉄道に乗って移動していますが、実は朝鮮総督府鉄道の恩恵をそのまま使っているのです。
戦前戦中、戦後を分けて整理
現在において、日韓併合が失敗だったと考えることは、感情として十分に理解できます。おそらくそれは、竹島占拠や、その後の反日運動など、日本にとってイライラすることばかりをやって来る国が韓国です。歴史を見てみた場合、それは日韓併合が原因となっていることは間違えはありません。一方で、満州地域で展開された資源採掘は、石炭、石油、鉄やアルミニウムなど豊富であり、農業肥料や、工作機械などを作っていました。これを日本まで運ぶための陸路を、ロシアに遮断された場合、日本はそこで終わってしまうでしょう。
日本が何を失敗したかと言えば、むしろ戦後です。1965年の国交回復はあくまでも、韓国に一方的に気を使った完全優位の条約の締結となっていることや、それらを構成する各協定が、その後次々と無効化されていることに対して何もできないこと、むしろ、竹島問題を解決せずに国交回復したこと自体が、今となっては間違えかもしれません。これら日本の戦後外交にこそ問題が在ると言えます。今や彼らは、日本には何をやっても、何を言っても許されると思うようになったのは、むしろ日韓併合が終わった終戦後なのです。