アベノミクスの検証と経済指標の分析せず評価する世論 - 矛盾した前提での批判に意味は無い
2024-01-08 カテゴリー:日本クリック応援よろしくお願いします。
アベノミクス三本の矢
アベノミクスが日本をダメにしたという調査や論調が一部世論にありますが本当だろうか。先ずアベノミクスの内容は何ですか?とその世論調査なりに内容が答えられた人に聞いたものなのか、知らない人に聞いたものなのか。知らない人に聞いても期待した調査になるのだろうか。先ずアベノミクスの三本の矢を確認しておきます。
- 大胆な金融政策
- 機動的な財政政策
- 民間投資を喚起する成長戦略
金融政策は現在も継続されていますが、安倍元総理は消費増税は予め決められており、先送りできないタイミングで行われ、二本目の矢を放つことができなかったと言っています。つまりアベノミクスは様々な環境の中で実際には1本目の矢に留まっていると言えます。つまり2本目に進まなかった点について評価があるなら理解はできるが、アベノミクス自体の評価を行うことには疑問がある。
成果が紹介されることは少ない
次にアベノミクスの成果についていくつか挙げる。
- 国と地方の税収合計が2012年度の78.7兆円から2019年度には107兆円と過去最高となる。
- 8,000円台だった株価は安倍政権下で24,000円を超えた。
- 公的年金の運用益は7年半で57.6兆円増えた。
- 有効求人倍率は、2012年には100人に対して83人分の求人に対し、2019年には100人に対して164人分の求人。
- 人手不足が生まれたことにより事業者は待遇を改善。時給の最低賃金が2012年度の749円から、2019年度には901円に上がった。
- 一人親世帯の子供の大学進学率は、23.9%から41.9%に大幅に増加。
サナエノミクス三本の矢
日本経済強靭化計画(サナエノミクス)を掲載します。高市早苗議員は前回の総裁選挙でアベノミクスを引き継ぐ政策を発表されています。
- 金融緩和
- 緊急時の機動的な財政出動
- 大胆な危機管理投資・成長投資
共通する部分は金融緩和政策は今後も続き、高市内閣が仮に誕生すれば、政府が積極的財政政策を行うという点です。
バランスシートが無かった日本政府
1995年に日本政府のバランスシートが初めて導入されたということが何を意味しているかといえば、企業であれば当たり前の戦略的投資という概念が日本政府に無かったということでしょうか。貸借対照表やキャッシュフロー計算書が無くてどのように投資ができるのでしょうか。いわゆる単年度収支、前年度比較ができれば良いというものでしかなかった。プライマリーバランスという言葉が金科玉条の如く使われるようになりました。当時日本は規制緩和をすることで経済が復活すると考え、政府は法改正により規制を緩和していくというアプローチが繰り返されました。
産業移転と賃金の二重構造
結果的に未曽有の経済危機であったバブル崩壊にその後の国家戦略について日本政府は国家経済の立て直しや経済成長に向けた戦略的投資ができず、世界1位の政府資産を持ちながら金庫の扉を頑なに閉じ30余年が経過しました。そして企業らは製造部門を新興国に移転しGDPも税収も主に中国など周辺諸国のものとなり、日本国内で失業者が増加することを防ぐために派遣労働という賃金の二重構造を作り出しました。ここで生まれた経済格差の問題が現在の少子化の要因の一つとも言われています。
政策を見て次の総裁選びを
さて、アベノミクスが日本をダメにしたのでしょうか。そうすればサナエノミクスも否定することにもなるのでしょうか。それともこれまで通り財務省の指導の元プライマリーバランスを注視し財政健全化という美しい言葉を聞きながら政府からの投資を断り続けるのでしょうか。論点は政府による大胆な財政出動が必要か否かという点で一旦意見を集約すべきでしょう。いずれにせよどちらが良い政策かどうかはさておき、論点が政策では無く単なる個人攻撃の延長ではないかと思われる節がありその点は残念です。