国債は国民の借金ではなく国は企業でもない - 世論に全く浸透しない国債保有内訳
2024-01-09 カテゴリー:日本クリック応援よろしくお願いします。
国債は国民の借金ではない
冒頭の画像に日本国債の保有内訳を掲載しておきます。国債を国民の負債だとか、企業の借金と同じだと言う人をたまに見かけますが、国債は政府の借金であり、国民の借金ではありません。国を企業と例えても、企業は社員から金を借りていません。社外からするのが借金で、この場合海外からの日本国債購入がそれにあたります。海外への負債が大半であれば返せなければ当たり前ですがデフォルトします。日本国債の海外からの購入は7.3%となっています。
負債相当額の資産を持つ日本政府
どうしても企業と同じだと言いたいのであれば、日本国内の購入はいわゆる社内かグループ企業内の貸し借りという話でしょうか。髙橋洋一氏は日本銀行は政府の子会社と同じとし、金利が発生しようが連結で考えれば同じと説明しています。日本国債の53.2%は日銀が保有しています。そして同氏が、政府の負債(日銀保有分を除く)と同等額の政府資産を保有しているということを示すためのBSを導入したことは有名です。政府資産の総額はアメリカも中国も超える世界1位です。以下に日本国の貸借対照表(BS)を掲載しておきます。
「国の財務書類」令和3年度 財務省 (licenced under 財務省)
日本国債は円建ての負債
その上日本の国債は円建てで主に取引をされているので、つまり外貨基準の価値変動が無いということになります。外貨取引の場合自国通貨の価値が暴落した場合借金の額面はその分上がります。仮に自国通貨が半値になる。もしくは国債取引時に使用した外貨が倍になった場合、借金も倍になりますが、日本円での取引なのでその影響は全くありません。極端な話円を増札すれば返済が可能だと麻生元総理大臣は発言しています。この場合インフレになり円の価値は落ちますが、負債は円の額面だから返済できると言う理屈です。これは実際元総理であり元財務大臣発言だった麻生太郎氏が発言されています。
世界最大の債権国の日本
次に日本政府は世界NO1の債権国でもあります。つまり外国債や海外資産を持っている訳です。現在国債が問題だと言っているのは実は負債の部分だけを取り上げて大騒ぎをしている状態で、実は日本は外国の資産を世界一持っています。これは先ほどの円建ての国債を前提とすると、円を増刷すれば円の価値が落ち円安になります。そうすると海外資産はドル建て、ユーロ建てで買っているものは、その分円換算で価値が上がる為差益が大きな収入となります。現在の円安でも海外資産の評価額が上がることで大きな差益が発生しました。
インフレ率2%まで円を増刷
高市早苗議員はプライマリーバランス(PB)規律を時限凍結し国債発行による産業投資を訴え「日本経済強靭化計画」を掲げています。円の増刷でインフレになった場合でもインフレ率2%までなら大きな影響は無いといいます。現在はFRBの利上げの金利差で円安となっていますが本来は国債発行と増札による円安誘導と国際競争力の強化、物価上昇による賃上げと税収増が目標です。円安による製造業の国内回帰が実現すればGDPも税収も上がり、政府の負債も減らすことができます。今は金利差による円安効果でしかないのですが、既に大きな成果が出てきています。
財政政策に消極的な結果失われた30年
つまり国債は悪だと訴えている人はこれとは全く逆の発想になっています。バブル崩壊後に日本をダメにしたのはむしろプライマリーバランス規律、単年度収支ばかりを見て長期投資を行えなかったことです。日本は最も経済が危機的な状況で財政を締め上げた。企業と同じだとすれば企業の危機の時に会社の金庫を貝のように閉じてしまい、ジリ貧で長期投資ができない経営を30年来続けてきた訳です。これがいわゆる財務省によるPBの呪縛です。