派閥解散、岸田総理の「新たなルール」策定とは?平成元年の政治改革大綱は形骸化
2024-01-22 カテゴリー:日本Photo by Prime Minister's Official Residence (licensed under CC BY 4.0)
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平成元年に策定された政治改革大綱
相次ぎ派閥が解散すると発表し岸田総理も宏池会解散に言及した。平成元年に策定された政治改革大綱を見ると、現在のパーティ券問題について殆ど機能していないことが分かる。リクルート事件を契機として自民党が党議決定した大綱だ。岸田総理は「新しいルール」を策定するというが、過去に自らの党が策定した政治改革大綱はどのような位置にあるのだろうか。内容についてはリンクから全文が参照できるが、ここでは目次部分、要点について記載する。
- 行為規範、政治倫理審査会の改正強化
- 政治倫理確立のための国会議員などの資産公開法の制定
- 冠婚葬祭などへの寄附禁止の強化
- 名刺広告、年賀状などの規制
- ポスターなどの規制強化
- 人件費および事務所費の抑制
- 株取引の規制
- パーティの自粛とあらたな規制
- 政党への寄附の集中と議員活動への援助
- 国会議員への公的援助の拡大と国庫補助を中心とした政党法の検討
- 選挙制度の抜本改革
- 総定数の削減
- 格差是正
- 選挙区制の抜本改革
- 参議院の独自性の発揮
- 現行比例代表制の改革
- 総定数の削減と定数配分の不均衡是正
- 審議の充実とわかりやすい国会運営
- 多数決原理の尊重
- 能率的な国会運営の実現
- 派閥の弊害除去と解消への決意
- 近代的国民政党への脱皮
- 族議員の反省
- 当選回数主義の改善と信賞必罰の徹底
- 候補者決定のあたらしいルール
- 地方分権の確立
策定された内容は形骸化
この中で達成されたものは在るだろうか。今回のパーティ券問題を見るに殆ど形骸化されているように見えるが、今般岸田総理は宏池会の解散を検討していると発表した。二階氏の志帥会は解散を表明、発端となった清和会も解散すると言う。派閥そのものが原因だっただろうか。端的に政治資金の不記載の問題だったはずだ。これまでの世論を見ても派閥そのものの存在は政策論議を行う場としては問題では無いという意見が大半であったと思われ、検察の捜査も不記載の問題に焦点が当てられていた。
派閥の解散が解決策?
岸田総理は派閥を解消しながら新たな党内ルールを作成すると発言しているが、先ずはこの政治改革大綱からチェック項目を作成して、各項目を段階評価して何がどこまで達成されているのかを検討しないのだろうか。そのようなことではなく「新たなルール」を検討するという。
議院内閣制の負の部分
派閥が生まれる負の意味での原因は議院内閣制の仕組みが関係する。党内の人事はどこからどこまでも党内理論であり、人間関係が作り上げるものがほぼすべてだ。どの流れに乗るかによって自分の処遇も変わってくる。総理大臣は最大与党の党首となっているのだから、党首を決めるのも党内理論であり派閥を元にした党員の投票で決まる。逆に二元代表制を取る場合党内理論をいくら作ったとしてもトップは国民が決めるのだからあまり意味が無い。大統領制のアメリカでは日本のような派閥はほとんど無いと言う。
二元代表制の権限の考え方
日本が議院内閣制を採用している理由としてトップの権限を抑える目的があるとも言われる。敗戦後過去の戦争の反省という意味で大きな権限を持たせないという理由。その為日本の政治は決定する為にとても時間がかかる。その意味では有事にとても弱い体制とも言われる。二元代表制の場合、国民がトップを選ぶので、その他国会議員とは先ず票の質が違う。そして全国民が投票に参加するという前提で獲得する票数も圧倒的に違う。国会議員はあくまでも出馬した地域で選出されたに過ぎない。その為大統領などは議員により選出される首相に比べ大きな権限を付与される。この権限は有事の際にも大きな力を発揮する。